リビング和歌山紙面企画セミナー「やってみよう!人生会議」を行いました。

INFO
2025.11.30

リビング和歌山11/8日号の巻頭特集「始めてみよう“人生会議”」で企画したセミナーを、「人生会議の日」である11月30日(日)に実施しました。
【会場】フォルテワジマ4階小ホール(和歌山市本町)
【主催】和歌山リビング新聞社
【共催】和歌山県

「やってみよう!人生会議」の様子

今回のセミナーには153人の参加申し込みがあり、当初は定員を30人とし、和歌山リビング新聞社が運営する「リビングカルチャー倶楽部」のフォルテ教室」(フォルテワジマ4階)で行う予定でしたが、会場をフォルテワジマ4階の小ホールに変更し、定員を60人に拡大して実施しました。
当日は、応募者から抽選により選ばれた読者が来場、会場は満席となりました。

セミナーでは、まず最初に「伏虎リハビリテーション病院」(和歌山市畑屋敷東ノ丁)の理事長兼院長の中谷匡登(まさと)先生が講演。「人生会議(ACP)ってなんだろう?~人生の最終段階を穏やかに過ごすために~」をテーマに話してくださいました。

「やってみよう!人生会議」の様子

中谷先生は、高齢化社会の現状や将来像、そして人口が減っていく和歌山の医療現場はどうなっていくのかを解説。これからの看取りの場は、病院以外の在宅施設や自宅になっていくことなどについて触れ、いま私たちは「自分がどのように生きて、どこで、そのように最期を迎えるのか」考えておくことが大切だと話しました。

こうした自分の将来の医療について、事前に考えておくことが、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)、つまり「人生会議」のこと。

中谷先生は、人生の最終段階における医療やケアとはどんなものか、例を挙げて説明。終末期の医療を誰が、どう決めているのか、その現状も述べたうえで、自分自身の意向や価値観などを家族や周囲の医療者に伝えて共有しておく「人生会議」が、自分らしく終末期を過ごすポイントになることを医師の立場で話してくれました。
さらに、“人生会議をする”難しさや課題、メリットやデメリットも伝えながら、どう進めていけばよいかもアドバイス。参加者の皆さんは、中谷先生のお話に熱心に耳を傾けていました。

続いては「『もしもノート』を書いてみよう」として、和歌山県医務課の医療技師・畑本満里奈さんが演台に。「もしもノート」とは、リビング和歌山11/8日号の特集でも紹介した、人生会議を始めるきっかけにもなる和歌山県がオリジナルで制作したノート。「わたしノート」と「かぞくノート」の2冊で1組となっていて、この日は参加者全員に「もしもノート」が配布されました。

実際にノートを手に取りながら、どのように使っていくか、話してもらいました。

人生会議わたしノート

まず、畑本さんは、自分の最期をどのように過ごしたいかという県民意識調査の結果を示し、自宅で療養したいと考えながらも、多くの人が病院で亡くなっていて、本人の希望する最期の過ごし方と乖離(かいり)があると説明。そんな中、自分が受けたいと願う最終段階の医療やケアについて家族と話し合ったことがない人が多くを占めていることや、救急搬送による積極的な治療の結果、家族が本当にこれでよかったのか悩んだり後悔するケースがある事例について紹介。人生会議を重ねることが、自身の希望が尊重されるだけでなく、見守る家族や周囲の人たちの気持ちのい負担を減らすことにもつながると強調しました。

そんな人生会議を始めるきっかけづくりなるようにと、和歌山県が独自に作成した「もしもノート」。畑本さんは、何を目的に、どんなことを書き留めていくものなのかを説明しながら、この日は、「わたしノート」の35ページにある「病名・余命の告知」について、自分の考えがどれに当てはまるのかを一人一人が考えて、チェック。さらに、「ホスピスについて」「死期が迫ったとき」の質問にも、それぞれが考えて答えてみました。

中谷先生、そして畑本さんのお話には、その時の状況により、“その人の考え方は変わっていくもの”とありました。今日ノートに書き込んだ答えは、将来、変わることもあります。だからこそ、その時々に自身が最期までどう過ごすのかを考えておくこと、そして自分の代わりに医療やケアを判断する人に伝えておくことが大切だと認識できたセミナーでした。