データに基づいて業界の動きをみてみる。
今私たちの業界はどうなっているかというような話から始めたいと思います。電通資料を基に過去20余年の媒体別広告費の移り変わりをグラフ化してみますと、電通推定による2011年の日本の総広告費は前年比2.3%減の5兆7096億円になっています。景気低迷や円高、東日本大震災をはじめとした各種災害の影響を受けて広告の出稿も減少した状況でもありました。電通資料を基に過去20余年の媒体別広告費の移り変わりをグラフで見てみると
(参考:電通調査資料2012年2月23日)
このグラフで1985年から2011年の推移を見て、通常スタンダードなスタイルで実施されているSP広告やプロモーションメディア広告が順調な伸びを示していますが、2000年以降、順調に成長を見せているのは「衛星メディア」と「インターネット広告」だけであります。多少の起伏はありますが1990年代前半にピークを迎えた以降は横ばいの新聞は2000年以降加速度的に減少しているのが確認できます。「テレビ」は1990年代後半にピークに後は横ばいで、今日の状況は暗澹たる模索の時代に突入したような気がします。伸び悩んでいる媒体に共通しているのは、携帯電話やスマホ、インターネットの浸透など、新しいメディアが社会に根差し始めた時期に一致します。生活者のメディアへの接し方の変化により、クライアント側から広告メディアに対するリバランスが行われている雰囲気があります。
媒体別では、インターネット広告と衛星メディアが前年を上回ったが、ほかはすべての項目で前年割れといった状態です。もっとも、テレビ広告は全体で0.5%減と微減にとどまり、そのうちスポット広告費は微増(0.7%増)。
メディア接触時間は、震災等があったが、マス4媒体に関しては、大きな変化はしていない。しかしその反面、携帯(ネット)の接触時間が大きく増加。モバイルでのネット接触が増加する傾向がデータ上見えます。さらにスマートフォンは急速に浸透。20~30代男子、20代女子では約6割に高まっています。またこのデータをみて今後の課題にしなければならないのは「PCネットVSモバイルネット」ではなく、「4マスVSネット(PC+モバイル)」、図は、その観点でのメディア接触時間のデータでございます。テレビは過去数年にわたって接触時間はほぼ横ばいで、やはりメディアでは中心をしめる存在であります。また、図からはモバイルが伸び、PCからモバイルへのシフトも見て取れます。
30代、60代の図では、30代男性のネット割合が昨年より高まっている模様です。また30代、60代のデータでは、30代男性のネット割合が昨年より高まっていることが顕著に表れています。
媒体別では、テレビが0.5%減の1兆7237億円。インターネット広告費は4.1%増の8062億円。また震災の影響を受けながら、媒体費の内訳は、PC向けWeb広告が5021億円(3.0%増)、モバイル広告は1168億円(2.7%減)。スマートフォンの広告は拡大の一方ですが、携帯電話向け広告の減少が顕著。なかでもスマートフォン向け広告(337億円)は拡大しているものの、中味はスマートフォンへのシフトは必ずしも広告媒体費ではなくアプリ開発などにも流れているとみられています。またPC向け検索連動型広告は2194億円(7.8%増)、モバイル検索連動型広告は463億円(62.5%増)。で確実に伸びています。しかし新聞広告費は6.3%減の5990億円。ラジオは4.0%減の1247億円。プロモーションメディア(4.6%減の2兆1127億円)も全ての項目で前年を下回ることになりました。
株式会社和歌山リビング新聞社 代表取締役社長 西田 弘
(株)和歌山リビング新聞社代表取締役社長。(株)リビングリレーションズ代表取締役社長。ソーシャルカルチャーネットワーク(株)代表取締役社長。一般財団法人リビングソーシャルプロジェクト代表理事。NPO法人コミュニティマネーわかやま理事・大人大学推進協議会会長・日本宇宙少年団和歌山分団長。