コミュニケーションのカタチが変わった。
東北の震災以来、災害に対してIT、特にソーシャルメディアの有効性を強く感じています。と同時にその弊害もある中で、情報伝達の難しさをあらためて考えています。メディアの様相が急激に変わる一方、メディアの機能に基づいた役割が各々明確になってきたように思います。と同時に、特にSNSを日常的に利用している方々のITリテラシーを高める活動、もっとポジティブに言えばSNSを活用していない方々へのITリテラシーが必要ではないかと考えています。テレビや電話が機能しない状況の中、コミュニケーションツールとして複数種類のSNSがあり、そしてテレビの代わりにUstreamやYoutubeでテレビの映像がストリーミングされ、刻々と変化する状況やそれに合わせての情報が発信されました。以来Googleなど各社によって災害対策用のメディアがいろいろと立ち上げられてきますし、このような流れを機にメディア側はメディア本来のあり方を問い直すことも重要ですが、もっとメディアに関わる当事者たちが柔軟にスピード感をもって対処すべきと考えています。
情報を受け取るという生活者からの視点で見れば、これらのツールを非常時に使いこなし、かつ溢れる情報に翻弄されないようにする日常的なスキルとして、日頃からITリテラシー・情報リテラシーなどを高めておくことがさらに求められています。
メディアの影響が変化した時代です。まず、「影響力のベクトル」が変わりました。それは、影響力を及ぼす方向性が、一方通行から「双方向」に変わった。※いくつかのベクトルが同時に存在するようになった。端的にはトップダウンの影響力からボトムアップの影響力へ変わったということです。また「影響力のスピード」が変わった。たとえば人を動かすパワーを持つ情報が拡散していくと、拡がれば拡がるほどさらにスピードアップしていく。というようなものです。「影響力の範囲」が変わった。世界中の人々が互いにつながりダイナミックな環境が生まれた。情報が氾濫することによって「自分に関係があるかどうか」と言う視点が大事に本当に大事になりました。影響範囲も複雑化し予測できないところに情報が広がる可能性がでてきました。また、このようなソーシャルメディアの影響力により、合わせて震災以来、人々の生きがいや生きる価値観、また人々のつながりや絆のような概念、地域社会の機能や役割など、あらためて問われる機会にもなりました。特にコミュニティのあり方とそこに暮らす人々の関係が根本的なところから考え直さなければならいない今日でもあります。
世の中、ソーシャルがキーワードに。
そのような流れを組んで、多様性を掲げていた社会の変化や人生の価値観などを、われわれの業界に視点を移せば、プロダクトアウト的な情報発信方法ではなく、マーケットイン的な多様で複雑なニーズを受けた情報のあり方、またコミュニケーションツールとしてのメディアのあり方も同時に考えなければならない環境ではないかと考えています。またメディアから情報を受ける生活者の、メディアへの関わり方、社会への関わり方や、特化して言えば、それぞれの生活者がつくるプラットフォームやベクトルなど共有認識を、生活者自身が当事者意識をもって、ITリテラシー・情報チテラシーを身につけて対処していかなければならないのではと思っています。
また一方、メディアのポジショニングとドメイン・ベクトルから、情報とコミュニケーションをどう考え?どう発信するか?またSNSなどソーシャルメディアとの連動と融合をいかに戦略的に効果的に構築するか?そしてそれらを受ける生活者の行動スタイルの変化をどう捉え続けるか?などが今後の大きな課題だと思っています。第1回は「コミュニケーションをデザインする」第2回は「グローカルなプラットフォームでメディアづくりを考える」でした。今日は第3回目ということで、これらのテーマの流れにのれば、今回は「メディア戦略としてのコミュニティビジネス/ソーシャルビジネス」というテーマでお話しておかなければと考えています。
株式会社和歌山リビング新聞社 代表取締役社長 西田 弘
(株)和歌山リビング新聞社代表取締役社長。(株)リビングリレーションズ代表取締役社長。ソーシャルカルチャーネットワーク(株)代表取締役社長。一般財団法人リビングソーシャルプロジェクト代表理事。NPO法人コミュニティマネーわかやま理事・大人大学推進協議会会長・日本宇宙少年団和歌山分団長。